映画「チャルカ 〜未来を紡ぐ糸車〜」への想い チャルカとは、インドの手紡ぎ糸車のことです。インド独立の父、ガンジーはイギリスの支配から自立するために、自国で生産した綿花を自分たちで紡ぎ、その糸を手織りにした布(カディ)を作ろうと提唱しました。チャルカは独立運動のシンボルです。 東日本大震災は私たちにとって本当に大事なものは何なのかを問いかけ、福島原発事故は経済優先社会が行き着いた惨状を見せつけました。それでもなお、人類の環境破壊は止まりません。その究極は何10万年以上も毒性が消えないという放射性廃棄物=核のゴミを産み出してしまったことでしょう。それは遠い先の子孫たちの住処までも奪っていることにほかなりません。人類が直面しているこの課題から、私たちが学ぶべきこととはいったい何なのでしょうか。 本作品には、高レベル放射性廃棄物の地層処分研究施設のある北海道幌延町の隣町で酪農を営む久世薫嗣(しげつぐ)さん一家の生き方を軸に、もう一つの研究施設がある岐阜県東濃地域、そして世界で初めて地下処分施設が建設中のフィンランド、原子力大国フランスの処分計画地ビュール、さらには新しいエネルギーや生き方が織り込まれています。私たち一人一人が未来をどう紡いでいくのか...。どの世代の方にも観ていただきたいと思います。 私たちは自分たちの手で新しい未来を紡ぐことができます。すでにその道を歩き始めている人たちは大勢います。この映画があなたの生き方を紡ぐチャルカとなりますように。 小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教) 核のゴミは無毒化できない。その毒性が、もともとのウラン鉱石の毒性まで低下するには、10万年〜100万年の歳月が必要となる。原子力利用は、未来永劫と言える未来の子供たちに対する犯罪である。 武藤類子(福島原発告訴団団長) 人類は未だ解決できない核のゴミを、なぜ出し続けようとするのだろう。福島に生きる者としても、放射性廃棄物の問題は深刻だ。3.11後、福島と六ケ所村を撮影した島田監督の、核のゴミ問題を正面からテーマとした新作に期待したい。                                          監督 島田恵 1959年東京生まれ。写真家・ドキュメンタリー映画監督。1986年のチェルノブイリ原発事故後、核燃問題で揺れる六ケ所村を初めて訪ね衝撃を受け撮影を開始する。1990年〜2002年まで同村に在住。写真集「六ケ所村 核燃基地のある村と人々」(高文研)で、第7回平和・協同ジャーナリスト基金賞を受賞。同名の全国縦断写真展を行う。3.11後に制作した映画「福島 六ケ所 未来への伝言」は「2014年キネマ旬報文化映画部門」第7位となる。